会長挨拶
ANAグループ労働組合連合会
会長 白石 哲也
現在、世の中の企業経営やANAグループの経営に目を向けると、大きな環境変化が起こっています。従来、企業は株主の利益やお客様の満足を重視する傾向にありましたが、現在は、会社が従業員の幸せや利益を追求する世の中になっています。ANAグループでは経営ビジョンを刷新し、「ワクワクで満たされる世界を」つくることをめざすとともに、「社員が働いて幸せと思える会社へ」していこうとしています。この状況は、労働組合および組合員にとっては労働条件が向上する追い風が吹いている状態と言えます。たとえば、賃金の向上や働き方の多様化、福利厚生制度の充実などが期待できます。
一方で、そのような状況だからこそ、労働組合が果たすべき役割は大きくなっていると考えます。なぜならば、組合員や組合役員には、会社の視点だけでは十分にとらえきれない、様々な感情があるからです。
会社は、会社の論理で、従業員の幸せを追求すると思います。また、社会的な要請から様々なことが改善していくはずです。たとえば、直近では、最低賃金が年々上昇することで、ANAグループの組合員のなかには、賃金が年々上昇している方がいらっしゃいます。また、育児・介護休業制度については、女性の活躍推進や男性の育児参画、介護離職の抑制などの社会的な要請を受けて、年々、制度が改善されています。
一方で、組合員にとってみれば、たとえ、労働条件の一部が向上したとしても、自身のニーズと違っていた場合には、ポジティブな感情だけにはとどまらないと思います。また、社会的な要請から制度が改善された場合には、組合役員のモチベーションややりがいに影響をおよぼす懸念があります。
労働組合は、組合員の意見を原点に、自らの手で、職場・会社・グループ・産業・社会をよりよくしていくことが基本的な機能ですので、最も望ましいのは、組合員が実現してほしいと思っていることを、労働組合を通じて実現することです。会社と労働組合が大切にすることが似てきたからこそ、労働組合としては、組合員が幸せになるために何が必要なのかということを、これまでの常識にとらわれず大胆に考えることや、また、簡単には実現できないことであっても、理想を掲げ、実現に向けて努力する必要があると考えています。
ANAグループ労働組合連合会は、加盟組合の皆さんと一緒になって、組合員とその家族の幸せと、ANAグループの発展をめざして活動していきます。
2023年10月 ANAグループ労働組合連合会 会長 白石 哲也